生後100日目のお祝い。お食い初め(百日祝い)の料理とは?
お食い初め(おくいぞめ)は、子どもが誕生してから100日目~120日目頃に祝う儀式です。
呼び方もさまざまあり、「百日祝い(ももかいわい)」「真魚始め(まなはじめ)」「箸揃え」「箸祝い」「お箸初め」「歯固め」など地域によって違います。
「一生食べ物に困らないように」「丈夫な歯が生えてきますように」など、子どもの幸せを願う、平安時代から続く日本の伝統儀式。
ここでは、赤ちゃんが無事に育ったお祝いとして、しっかりやってあげたいと思っていらっしゃるママさん・パパさんに、女将からお食い初めのメニューや儀式の仕方、歯固めの入手法など詳しくお伝えいたします。
お食い初めのメニューとは?
生後7日目に「お七夜」、一カ月後には「お宮参り」と続き、ようやく首が座りはじめた100日目頃が「お食い初め」。
生まれたばかりでも、イベントが目白押しですね。
最近は自宅でお食い初めを行われることが多いので、子育てで忙しい中での準備は大変。
手軽にできるものは、どんどん採用しましょう。
お食い初めで、用意されるのが「祝い膳」と呼ばれる料理。
全部で6種類あります。
1)吸い物
2)尾頭付きの鯛
3)お赤飯
4)煮物
5)香の物(酢の物)
6)歯固め石
食器は、正式にする場合は、漆器のものを使います。男の子は朱塗り、女の子は表面が黒塗りのものを使用します。
ベビー食器や自宅で用意できる器でも構いません。
お箸も、柳の白木を使った「祝箸」と呼ばれるものを使います。柳はしなやかで折れにくいことから、丈夫さを意味し縁起が良いとされています。長さは末広がりの意味を持つ「八寸(24cm)」。
お宮参りの神社で頂く場合もあるようです。ない方は、デパートやインターネットで用意しましょう。
次に、具体的にどんなメニューを用意するのかを説明していきます。
一汁三菜
お食い初めの基本となるメニューは、「一汁三菜」です。お赤飯や鯛の焼き魚、煮物、吸い物、香の物を用意します。
メニューには、それぞれ縁起の良い意味が込められていて、愛情を感じられるものばかり。準備するのも楽しくなりそうですね♪
【一汁三菜】
1)吸い物
吸い物は「はまぐり」を出すことが一般的です。
「吸う力」が強くなるという意味の他に、はまぐりは、その2枚の貝同士しかぴったり合わないことから、夫婦円満のシンボルとされ、「良縁に恵まれる」という願いが込められています。
時期によっては用意できないものですが、最近ではネット通販からレトルトパックで入手できますし、「あさり」のお吸い物や可愛い「手まり麩」などで代用も可能です。
2)尾頭付きの鯛
皮が赤色、身は綺麗な白色で紅白の縁起物。
『めでたい』なんていう、語呂合わせの良さからも選ばれている理由です。
魚の中では寿命が長く、なんと40年生きるものもいます。長寿の意味も込められた、祝い膳のメインメニュー。
福井では甘鯛やレンコ鯛などが使われることが多いです。
養殖・天然の鯛の違いは、鮮やかな赤色と見た目の綺麗さから、天然がお勧めです。
なぜなら、養殖はいけすの中で、尾びれなどが網や魚同士でこすれ合い、削れてしまいます。また、深水も浅いところで育てるため日焼けして、鮮やかな赤色ではなく黒っぽい色になってしまうので、祝いの席なら天然が良いでしょう。
越前特大甘だい 1パック(1尾入り・1尾あたり約250-300g)
3,500円(税込)
3)お赤飯
小豆の赤色ともち米やうるち米の白で、「紅白」を表す縁起物。
魔除けや厄払いの意味も持っています。
お赤飯以外では、お餅やお粥、栗ご飯、白いご飯でも構いません。
4)煮物
とくに決まりはありません。筑前煮や肉じゃがなどを前日に用意しているご家庭もあります。
縁起の良い食材は、以下の通り。
・人参と大根…紅白の縁起物
・レンコン…見通しの良い人生に
・筍…すくすくと育ちますように
・里芋(タネイモ)…小芋がたくさんできるため、子宝に恵まれる
・昆布…喜ぶ
・かぼちゃ…亀の甲羅の六角形の形にして、長寿の願いを込める
このような、縁起の意味や願いが込められています。
5)香の物(酢の物)
香の物は、「幸(こう)」とかけて、縁起をかついだ呼び方をしています。
旬の野菜や名産物を漬物にします。人参と大根を千切りにした「なます」を添えるご家庭が多いようです。
また、タコを「多幸(たこう)」とかけて酢漬けにしたものも出されています。
お食い初めのメニューは地域によって違う?
基本的にはメニューは同じですが、地域によっては、使う食材が地方色豊かな祝い膳となっています。
例えば、以下の通りです。
【赤飯】
北海道や東北地方では、甘納豆を使い食紅で色を付けた、一風変わったピンク色のお赤飯。
関東地方は、小豆に似ている「ささげ」を使います。長野では花豆や栗、千葉県では落花生。
そして、これも珍しいと思いますが、福井県大野市の一部では、小豆と甘辛煮にした「さといも」を一緒に入れて蒸すお赤飯が食べられています。
『上庄さといも』として、古くから里芋栽培がされてきた地域ならではのお赤飯ですね!
【鯛】
焼き魚は、北海道では「キンキ」が使われています。これも、皮が赤く身が白い紅白の魚です。京都は「ホウボウ」。赤色で、頭が大きくて硬い魚です。「頭の骨が硬くなるように」「人の長となるように」などの意味合いが込められています。
とくにお赤飯が、地域の特徴が出ていて面白いですね。
お食い初めの儀式とは?
お食い初めが始まったのは、平安時代といわれています。元々は、生後50日後に「五十日(いのか)」を祝い、赤ちゃんに重湯でふやかした餅を少しだけ口に含ませるお祝い儀式をしていました。
それが、100日後の「百日(ももか)」となり、餅から魚に代わって「真魚始め」(まなはじめ)「箸祝い」などと、呼ばれるようになっていきました。
昔は子どもが育ちにくかったため、生後間もない頃の儀式やお祝い事が多かったようですね。
お食い初めの儀式は、長寿にあやかり、参加者の中で一番の年長者の方に、食べさせる真似をしてもらうのが習わしです。食べさせる真似をする順番があるので、以下を参考にしてください。
【儀式の順番】
1)お赤飯
2)お吸い物
3)お赤飯
4)焼き魚
5)お赤飯
6)お吸い物
これを3回繰り返し、「歯固めの儀式」へ移ります。
【石固めの儀式】
歯固めの儀式は、「歯が石のように丈夫に生えるように」という意味合いがあります。
用意しておいた「歯固め石」にお箸で触れ、そのお箸で赤ちゃんの口へちょんちょんと触ります。地域によっては、歯茎に軽く当てることもあるそうです。
これで儀式は、完了!食べさせる真似だけなので、残ったお料理は、みなさんで美味しく食べてくださいね。
歯固め石について
歯固め石は、お宮参りのときに祝箸と一緒に頂く地域もあるようですが、ない場合はどうしたらよいのでしょうか?
以下の通りにまとめてみました。
1:地域の氏神様が祀られている神社で、境内にある石を借りて煮沸消毒して使い、使い終わったら洗ってお返しする
2:碁石を使う
3:梅干しや栗を使う(梅干しは「しわしわになるまで長生き」の意味がある)
4:タコやアワビを用意する地域もある(「硬い物を噛めるように」)
儀式といっても、あまり堅苦しくないことが感じられますね。手軽な方法を選んでみても良いと思います。
みなさんでワイワイ楽しく、お子様のご成長をお祝いしましょう!