越前ガニとそのほかのズワイガニの違いって? 産地によって味が変わる2つの違い
毎年11月6日は「越前がに」の解禁日!
ニュースや旅番組などでカニの話題が出てくると、わくわくしてしまいます。
特に地元の越前町が映ると、知っている顔ばかり出てくるので、ついつい誰がでているのか探してしまいます。
カニ・干物専門店『越前宝や』の女将・宝山です。
生まれは「越前がに」が獲れる越前町で育ちました。
徒歩10歩で行ける港では、漁から帰ってきた船の音が聞こえ、港では水揚げされた魚、カニを競り落とす活気あふれる声が響きわたっています。
越前町で水揚げされる「越前がに」ですが、テレビなどで「越前(えちぜん)がに」「松葉(まつば)がに」「間人(たいざ)がに」などの名前は聞いたことがあるけど、どんなカニなのか、違いはあるのかなど、なんとなくわからない…というお声を耳にします。
ブランド化されたズワイガニにはどんな違いがあるのか?
また、なぜ「越前がに」はトップブランドガニと言われているのか?
今回はそんな疑問に迫ってみましょう!
目次
ズワイガニのブランドの種類
まずはみなさん、ズワイガニは水揚げされる港によって、呼び名が違うのはご存知でしょうか?
牛でいえば、神戸ビーフ、松坂牛、近江牛みたいなもので、ズワイガニも水揚げされる港によってブランド化されていろんな名前が付けられています。
たとえば越前がには、毎年皇室に献上されている高級品でもあります。
でも、牛であれば、同じ牛でも育った環境や与えられるエサによって味に違いが出てきますが、海はつながっていて1つしかありません。
ましてや天然で育つカニです。品質や味に違いはあるのでしょうか?
そんな疑問にお答えいたします!
ズワイガニのブランド一覧
ズワイガニは水揚げされる港によって、ブランド名が付けられています。
昨今ではブランド化が盛んになり、とてもたくさんの種類があるように混同されがちですが、カニの品種としてはすべて『ズワイガニ』(または本ズワイガニ)です。
わかりやすく表にまとめてみました。
ブランドズワイガニは、産地ごとに色の付いたプラスチック製の「タグ」をつけ、その漁港で水揚げされた証としています。
ブランド名 |
タグの色 |
水揚げされる地域 |
越前ガニ |
黄色 |
福井県(越前漁港) |
芳ガニ(よしがに) |
白 |
山形県(庄内浜) |
加能ガニ |
水色 |
石川県(金沢港、橋立港、輪島港) |
松葉ガニ (松葉ガニはさらに地域・漁港によってブランド名が変わる↓を参照) |
【山陰地方】 京都府、兵庫県、島根県、鳥取県 |
|
間人ガニ |
緑 |
京都府丹後町(間人漁港) |
津居山ガニ |
青 |
兵庫県(津居山港) |
柴山ガニ |
ピンク |
兵庫県(柴山漁港) |
浜坂ガニ |
白 |
兵庫県(浜坂港) |
隠岐松葉ガニ |
青 |
島根県(隠岐諸島) |
鳥取松葉ガニ |
白地+赤文字 |
鳥取県 |
タグを付けるにも基準があり、その項目は各漁港によって違いがあります。
越前がにとそのほかのズワイガニ 2つの大きな違い
そんなたくさんのブランドガニがあるズワイガニ。
でも産地でそんなに品質や味が違うのでしょうか? 差があるとすれば、そもそもなぜ差が出てくるのでしょうか?
きっとみなさんが一番気になっている部分ですよね。
なので、越前ガニを例にそのほかのズワイガニとの違いをご説明いたします。
違いその1.生まれ育った海が味の決め手になる
まず1つ目。カニは広く移動しないためその海ならではの味が、そのカニの味となります。
例えば福井県の場合、漁場である越前沖は暖流と寒流のぶつかり、カニのえさとなるプランクトンや小魚、甘えびが豊富に棲みついています。
そんな良質をたくさん食べた越前ガニはしっかりと肥えて、がっちりとした重みにまで育ちます。
また冬の日本海は海水が冷たく、海が荒れることもしばしば。そのため荒波にもまれたカニは身がしまっているとも言われています。
違いその2.漁場から港までの距離
そして2つ目。漁をしてから港に戻るまでの距離(時間)です。つまり鮮度です。
ロシアなどから輸入されるズワイガニの漁獲船では、大きな船で荒れる海の中、解禁期間40日間カニを獲り続け一度も港に帰りません。船の中で港に戻るまでカニは保管されます。
そして、日本のブランドガニでの漁獲方法でも、港から出て戻ってくるまでに3~4日間沖に出たまま泊りがけで漁獲します。この場合も船の生け簀(いけす)に生かしておくのですが、沖に泊っている間に死んでしまうカニもあります。
これが大きな違いです!
活生越前ずわいがに(オスがに) 900~1.0kg前後×1杯【冷蔵】
「越前がに」がトップブランドとされる理由は、漁場が港から近く1~2時間ほどで到着するので日帰りでとれたてのまま港に水揚げできることです。
越前沖は、海の地形が深水100m~150m~200m~と段々畑のようになっており、カニの生息水域である水深250~400mまで一気に深くなります。そのため漁場が港から近いのです。
これは越前沖だけの地形で他の海では見られない形です。
カニの旨さはなによりも「とれたての活きのよいもの」が一番! これが「越前がに」がブランドガニの中でもトップブランドとされている理由です。
越前沖の恵みが越前がにのおいしさを作っているのですね!
さらに厳選されたブランド越前がにの「極」
越前がにからさらに厳選されたカニブランド「極(きわみ)」。
「極」には、以下の基準があり黄色い「越前がに」と「越前焼」で作られた焼き物のタグ「極」のダブルのタグが付いています。
2022年の初競りでは、「極」が1匹310万円の値が付き、通常でも10万円以上することも多い最高級の越前がにです。
【極の基準】
・甲羅……14.5cm以上
・重さ……1.3㎏以上
・爪の幅……3cm以上
「極」の厳しい基準に達するズワイガニが揚がるのは1シーズンに500杯前後。全体の0.5%以下です。
越前ずわいがに(オスがに) 献上級(1.4kg前後×1杯/極きわみ)【冷蔵】
一番おいしいズワイガニを食べるならタグ付きのブランドガニを!
なによりも鮮度が命の越前がに。「越前宝や」では、越前港で水揚げされたカニを職人がその場で茹で上げます。
ご自宅で越前の最高の味をお楽しみください。
今年は、越前の海の味を楽しんでみませんか?
また、大切な方への贈り物としてもおすすめです。